病院を退職して、一度ゆっくり休んでから次の職場を考えたいという看護師は多いのではないでしょうか。
しかしニートになると、次の仕事が無事に決まるまでお金の面や必要な手続きなどで心配なこともありますよね。
この記事では、看護師を一度離れて無職になるとどんなことがあるのかご紹介します。
復職までの流れも紹介するのでぜひ参考にしてください。
看護師がニートになる5つのデメリット
看護師の仕事は体力的・精神的に大変だから、退職直後の開放感は最高です。
「しばらくニートになってリフレッシュしてから転職したい」と思ってしまいますよね。
しかしニートになったら社会的なデメリットがあることも事実。
ここでは詳しく5つの視点からデメリットを解説します。
年金の支払い
年金の支払いは20歳から60歳までのすべての人が対象となり、ニートになっても支払い義務があります。
病院で働いている間は厚生年金が給与から天引きされていましたが、退職してニートになると国民年金に加入し、自分で支払う必要があります。
まな国民年金に加入するためには、退職してから14日以内に市役所で手続きしなければなりません。
もし支払いが難しい場合は、支払い免除・猶予の申請を行うことができます。
しかし申請をせず年金を支払わないままでいると、「未納」として延滞金を支払わなければならない事態になるので注意しなければなりません。
将来のためにも、しっかりと年金は支払いましょう。
令和4年度の国民年金の引き落としは毎月16,590円です。
年金の手続きや必要なものなどについては
日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」
も参考にしてください。
住民税の支払い
住民税は、ニート期間であっても支払う必要があります。
住民税の計算は、各地方自治体が計算しますが、基本的な考えとして以下の税額がかかります。
所得割:(前年度の所得-給与所得控除-社会保険料控除-住民税基礎控除)×10%
均等割:市町村民税3,500円+都道府県民税1,500円
前年度の所得で納付額が決定するため、辞めた直後はそれなりに高い金額になります。
看護師の平均年収は約498万円なので、少なくとも約20万は支払う計算です。
住民税の納付通知書は6月に届き、6月・8月・10月・1月と年4期に分けて納付できるので忘れずに支払いましょう。
もし支払い期限を過ぎてしまうと督促状が届き、滞納を放置している場合は延滞金を納めなければなりません。
住民税の支払い方法については、近くの役所のホームページを参考にしてください。
国民健康保険の加入
看護師の仕事を退職して、無職の状態であっても、健康保険に必ず加入しなければなりません。
選択肢として以下の3つが挙げられます。
- 前職場の健康保険に継続して加入(任意継続)
- 国民健康保険に切り替える
- 家族の扶養に入る
任意継続は退職後2年間は加入できますが、それまで職場が負担していた保険料も自分で支払う必要があるので、保険料は2倍と高いです。
退職してそれまでの健康保険をやめた際は、14日以内に役所で国民健康保険の加入手続きをしなければなりません。
もし国民健康保険に入る場合は、年金の手続きと合わせて申請をしましょう。
面倒くさがって加入をしていないと、風邪やケガなどで医療機関を受診した際の医療費が10割負担となってしまいます。
本来3割負担で済むところなので、あとから手続きするにしても経済的負担は大きくなってしまいます。
さらに、気を付けなければならないのは未加入を放置していると罰則があること。
国民の義務である国民健康保険の加入を怠ると、罰金を支払う事態になる恐れもあります。
遅れて加入手続きをしても、退職した日から加入資格が発生しているので滞納せずに支払う必要もあるでしょう。
国民健康保険の届け出や必要書類などは各地方自治体のホームページを参考にしてください。
失業保険の手続き
病院を退職してから、しばらく働かない場合は、経済的な不安があるでしょう。
失業保険の手続きを行うために、まずは公共職業安定所(ハローワーク)に行って手続きをしないと受け取ることができません。
- 過去2年間に12か月以上雇用保険に加入していた期間がある
- 働ける能力があり、就職活動中である
上記を満たしていれば、これまでの給料の50~80%を貰うことができますが、1年未満の自己都合による退職は当てはまらないことに注意しましょう。
また病気や妊娠などですぐに働くことが難しい人は給付対象にはなりません。
もし、失業保険をもらっている期間中に看護師の派遣バイトをしたいと考えている場合は、ハローワークの担当者に申告した上で働くことができます。
しかしバイトをした日数が多いほど給付額は減る可能性があります。
無断でバイトをするなど虚偽の申告が発覚すると不正受給とみなされてしまうので注意しましょう。
その場合は給付金の返還と支給額の2倍の金額の違反金を支払うことになります。
一方、早い段階で仕事が決まれば、再就職手当が受け取れるチャンスもあります。
受給の条件や決まり事は少し複雑ですが、分からないことはその都度担当者に確認をとりましょう。
失業給付金がもらえる日数や金額は、退職理由や勤務年数、年齢によっても異なるので、詳しくは
厚生労働省職業安定局「基本手当の所定給付日数」
を参考にしてください。
確定申告の手続き
病院を退職した年に転職せずにニートを続けた場合は、翌年の2月16日から3月15日の間に自分で確定申告をしなければなりません。
毎月の給料やボーナスは所得税が源泉徴収されていますが、途中で退職をしていると税金を納め過ぎている可能性があります。
そのためきちんと確定申告を行って、還付金をもらえるように準備しましょう。
年内の12月までに新しい職場に転職することが決まれば、年末調整をしてくれるので面倒な書類の手続きは行わなくて済みます。
確定申告を行えば、翌年の住民税や国民健康保険料の金額が安くなる可能性もあるので、損をしないためにも手続きをしましょう。
確定申告は国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーから簡単に書類作成ができます。
もし申告期限を過ぎたり退職後にバイトをして申告漏れがあると、延滞税や罰金を支払うことになります。
詳しい申告書の作成方法については
国税庁 「確定申告書等作成コーナー」
を参考にしてください。
ニートから看護師に復帰する方法
看護師を一度離れてニートになると、いざ看護師に復帰したいと思った時に、どのように行動すれば良いのか悩む人も多いです。
ここでは看護師として新しい仕事を探すためのステップを解説します。
まずは前の病院を辞めた理由を分析してみましょう。
「病棟業務が合わなかった」「人間関係で悩んだ」「夜勤がつらい」などさまざまな理由が出てくるかもしれません。
その中でも今後看護師として働く上で譲れない条件を決めて、次の職場でやりたいことや、自分の得意なことを見つけることが大切です。
転職活動を開始する際には、早めに転職サイトに登録してプロのエージェントの支援をうけることが効率的です。
登録後は、希望条件に合わせた求人を複数紹介してもらい、内部情報を把握しながらじっくりと比較検討しましょう。
退職理由や、無職期間があることについては、採用面接で詳しく質問される可能性が高いです。
転職エージェントは、しっかりと面接対策を行ってくれるので初めての転職活動でも心強いですよ。
ブランクのある看護師は、仕事復帰の際にすぐに戻れるのか心配になることもあるかもしれません。
看護師の仕事を再開する前に、採血や点滴などの看護技術を確認しておきたい場合は復職支援セミナーの受講をおすすめします。
各都道府県のナースセンター開催のセミナーでは、座学での復習や実務研修に参加できるので復職への不安も解消されるでしょう。
医療業界は、少しの期間ブランクがあるだけでも治療方法や医療機器・器材など変化が著しいため、常に勉強しなければなりません。
希望する診療科の最新の書籍や、基礎看護技術のDVDなどで事前に学んでおくことでスムーズに復職できるでしょう。
医師や看護師が監修した無料動画がネットで閲覧できる場合もあるのでチェックしてみてください。
まとめ
一度看護師を辞めてニートになると、年金や住民税などさまざまな手続きを自分で行わなければならず、何かと大変です。
何も考えずに辞めてしまうと、思った以上に支払うお金も多く後悔することになりかねません。
国家資格でいつでも復帰が可能な看護師でも、無職になる場合は期間や目的をあらかじめ決めて早めに転職活動の準備にとりかかることが大切でしょう。
転職サイトの無料支援を上手に利用して、職場探しから書類選考や面接まで乗り切ってくださいね。


