新人ナースが一人前の看護師と認められるためには、「夜勤」というハードルを越えなければなりません。
でも一言で「夜勤」っていっても、わからないことばかりで不安ですよね。
夜勤デビューに向けて、夜勤の実際と準備について予習しておきましょう。
新人看護師の夜勤はいつから?
新人看護師の夜勤が開始される時期は、病院や施設によって異なります。
入職してから半年後、早ければ夏頃からなど、開始時期は様々です。
ほとんどの場合は1年以内に開始されることが多いです。
同じ病院内や病棟内でも目標の到達具合によって夜勤開始時期が違うこともあるでしょう。
しかし、どこの病院や施設も新人看護師が抱く不安を極力取り除ける時期に夜勤が出来るように設定されています。
日勤業務が困難なくこなせるようになった頃を、夜勤開始の目安にしている病院が多いです。
友人や同期たちと開始時期が違ったとしても焦りは禁物です。
夜勤と日勤の違い
看護師の夜勤と日勤の大きな違いはつぎの2つです。
勤務体制
1つ目は勤務体制の違いです。
夜勤看護スタッフの人数が減ります。
夜勤の看護師1人あたりの受け持ち患者数は日勤の倍ほどになることが多いです。
受け持ち患者7人に対して看護師1人の7対1の看護基準を採用している場合、夜勤での受け持ち患者の数は12〜18人であることが多いです。
病院や施設によっては、1人で20人以上を受け持つこともあります。
また看護師だけではなく、医師や検査技師、薬剤師などの医療従事者の人数も少なくなります。
医療スタッフの人数が少ないことで、急変時や夜間入院時などの対応が日勤時のようにスムーズにいきません。
患者への必要なケア
2つ目は患者への必要なケアの違いです。
昼間の患者はリハビリや検査で活動してたり、面会等で患者が病棟に不在の時もよくあります。
しかし、夜勤時はリハビリや検査はありませんから、ほとんどの時間を病床で過ごすことになります。
食事介助や排せつ介助などは日勤と変わりませんが、まずはしっかり休息していただくことを念頭に置いて患者に接しましょう。
夜勤パターンでみるメリットデメリット
病院のように24時間稼働している職場環境では、日勤と夜勤とを組み合わせ人員を配置します。
夜勤のある職場では看護師の勤務体制は二交代制か三交代制の二種類に分けられます。
病院内で一律に決められている場合もありますが、病院によっては自分で選べる場合もあります。
どちらの働き方にもメリット、デメリットがあるので、以下に紹介するそれぞれの特徴を生かしながら働きましょう。
二交代制
二交代制では、24時間の勤務時間を日勤と夜勤の2つに勤務時間をわけることになりますが、細かい時間設定は病院によっていろいろあります。
多くの病院で採用されているのは、日勤8:00〜17:00、夜勤16:00〜9:00というような割り振りです。
出勤のパターンが日勤・夜勤の2つしかないため、生活リズムが安定しやすい
夜勤の勤務拘束時間が長いため、体力や精神面で負担が大きい

体力に自信がない人や忙しい夜勤だった場合は、夜勤明けと休日のどちらも休息に当ててしまうことも。
三交代制
三交代制では、日勤、準夜勤、深夜勤の3つに勤務時間を分けます。
一般的には日勤は8:30~17:00、準夜勤が16:30〜25:00、深夜勤が24:30〜9:00というような割り振りとなっています。
二交代制に比べ労働時間が短いため、仕事に集中できる
シフトのパターンが三種類に増えるので生活リズムが不安定になりがち
準夜勤の場合、定時で退勤したとしても終電に間に合わない可能性あり



通勤で公共交通機関を利用している人は、準夜勤後の帰宅手段を確保しておきましょう。
病院によってはタクシー代の補助がでる場合もありますので確認してください。
夜勤パターンが合わないと感じたら自分に合った職場を探そう!


夜勤タイムスケジュール
夜勤の看護ケアのほとんどは日勤と大差ないので、計画を立てて実施しましょう。
ここでは一般的な、二交代制・三交代制の夜勤のおおまかなタイムスケジュールをご紹介します。
二交代制のタイムスケジュール
時刻 | 業務内容 |
---|---|
16:30 | 出勤 日勤スタッフから申し送り |
17:00 | 内服薬や点滴の準備確認 |
18:00 | 夕食の配膳 食事介助 与薬 口腔ケア |
19:00 | 巡回 バイタルサイン測定など患者の状態確認 |
20:00 | 就寝準備 就寝前薬の与薬 |
21:00 | 消灯 |
22:00~5:00 | 適宜巡回(体位交換やおむつ交換) 朝の内服薬や点滴の準備確認 |
6:00 | 起床 バイタルサイン測定など患者の状態確認 |
7:00~8:00 | 朝食の配膳 食事介助 与薬 口腔ケア |
9:00 | 日勤スタッフへ申し送り 退勤 |
もちろん勤務時間を通してナースコール対応や急変対応、記録を行います。
またカルテ整理や入退院準備、検査予約確認、物品管理など空いた時間でこなす仕事も。
なお夜勤スタッフは22:00~5:00の時間帯に交代で仮眠休憩をとっています。
三交代制のタイムスケジュール
準夜勤
時刻 | 業務内容 |
---|---|
16:30 | 出勤 日勤スタッフから申し送り |
17:00 | 内服薬や点滴の準備確認 |
18:00 | 夕食の配膳 食事介助 与薬 口腔ケア |
19:00 | 巡回 バイタルサイン測定など患者の状態確認 |
20:00 | 就寝準備 就寝前薬の与薬 |
21:00 | 消灯 |
22:00~24:00 | 適宜巡回(体位交換やおむつ交換) |
25:00 | 深夜勤スタッフへ申し送り 退勤 |
深夜勤
時刻 | 業務内容 |
---|---|
24:30 | 出勤 準夜勤スタッフから申し送り |
1:00~6:00 | 適宜巡回(体位交換やおむつ交換) 朝の内服薬や点滴の準備確認 |
6:00 | 起床 バイタルサイン測定など患者の状態確認 |
7:00~8:00 | 朝食の配膳 食事介助 与薬 口腔ケア |
9:00 | 日勤スタッフへ申し送り 退勤 |
二交代制と同様に勤務時間を通してナースコール対応や急変対応、記録を行います。
カルテ整理、入退院準備、検査予約確認、物品管理などの業務は、準夜勤と深夜勤で割り振っています。
初めての夜勤で抱える不安と解消法
夜勤ではスタッフが少なくなる分受け持ち患者が増え、責任も重くなる…。
そのうえ長時間の勤務なんて自分にはできるのだろうか、と不安に思いますよね。
少ないスタッフで多くの患者を見守ることは難しいと感じている先輩看護師も多いです。
優先順位をつけて動くこと、あらかじめ予測を立てておくことであわてずに対処できるようになっていきます。
仕事が終わらない
患者の就寝前と起床後の時間帯は集中して忙しくなり、多重業務を抱えることになります。
仕事量は多いけれど、準備を行う時間がしっかりとれるのが夜勤です。
時間があるときにあらかじめ準備をしておくことで、多重業務が発生しても円滑に対応が出来ることにつながります。
例えば朝実施予定の採血があるならば、患者の就寝中に準備をしておきましょう。
段取りよく仕事が進むはずです。
また、優先順位をつけて行動することを心がけましょう。
夜勤明けの時間は作業効率が低下しています。
1週間後のサマリーや、提出課題などの作成を夜勤明けに行うことは非効率です。
もし夜勤中に作成しなければならないのであればあらかじめタイムスケジュールを組んで、業務終わりの時間に重ならないようにすることが望ましいです。
また、先輩看護師とコミュニケーションをとり進捗状況を報告しあうことで、スムーズに業務が行うことが出来ます。
夜勤の独り立ちまでは、教育担当の先輩看護師がフォローしてくれます。
独り立ちまでに、先輩看護師に相談し改善していきましょう。
夜勤中に眠くなってしまうかも…
夜勤帯に眠くなってしまうのは生活リズムが整っている証拠とも言えますが、勤務中の眠気は少しでも抑えたいですよね。
仮眠を効率よくとること、食事を食べすぎないことなど、看護の知識で防げることもあります。
カフェインをとったり歯磨きや洗顔をするなど、工夫して過ごしている先輩看護師もいます。
自分なりに工夫してみましょう。
夜勤をすることで普段の勤務に支障が出そうな場合や、疲労やストレスが溜まってつらい場合には先輩看護師や師長に相談して下さい。
シフトを調整して夜勤を減らしてくれる場合もあります。
夜勤の前に準備しておくべき3つのポイント
初めての夜勤は緊張しますよね。
以下の点に注意してしっかり準備をして緊張を最小限に抑えましょう。
夜勤の業務マニュアルを確認
病棟に夜勤のおおまかなタイムスケジュールやチェックリストなどが、あらかじめ用意されているはずです。
事前に配布されることが多いですが、そうでなければ先輩看護師に聞いてみてください。
病棟では時々イレギュラーなことも起こります。
しかし、タイムスケジュールが分かっているだけでも安心できますよね。
夜勤の業務マニュアルを確認してもわからないことがあれば、先輩看護師に質問し疑問は早めに解決しておきましょう。
体調管理も仕事のうち!
体調不良では業務に集中できませんよね。
自己管理をしっかりして体調不良を未然に防ぎましょう。
また普段コンタクトレンズを着用している人は、夜勤中のメガネの使用を視野に入れてください。
二交代制であれば、長時間コンタクトレンズをつけることになります。
休憩時間に外す時間を設けても、すぐに装着しなければなりません。
電子カルテのブルーライトや点滴の滴下など、目を酷使することはドライアイの原因にもなります。
患者の状態を正しく理解するために、看護師にとって五感は大切です。
休めるときにしっかり休んでくださいね。
あると便利な夜勤のためのおすすめグッズ
初めての夜勤で緊張しているなら、お気に入りのグッズを用意して緊張をほぐしてから挑みませんか?
消灯後の巡回で必要な懐中電灯も、首からぶら下げるタイプやペンタイプなどがあったりカラフルな色の種類があったりします。
しっかりと仮眠をとるためのグッズもあるといいです。
休憩時間にホットアイマスクを使用するのは非常におすすめです。
枕やタオルケットを持参する先輩看護師もいました。
リラックスするために必要と考えるグッズがあれば、持ち込むことを先輩に相談してみましょう。
【4つの心得】夜勤のための体調管理
夜勤が始まると体が慣れずに体調を崩してしまう新人看護師もいます。
体調が悪いまま仕事をすると集中できませんし、ミスの原因にもなりえます。
自己管理をしっかりして体調不良を未然に防ぎましょう。
生活リズムをくずさないこと
夜勤があることで、寝る時間、起きる時間がバラバラになりますよね。
体内時計に逆らって活動することになるので、健康にもリスクが生じます。
夜勤があるからといっても、普段通りの入眠・起床を推奨します。
いつも通りに起きて、ゆったりと活動し、昼寝をしてから夜勤に臨みましょう。
三交代制では、日勤と深夜勤の間が6時間前後になります。
その場合は日勤終わりに2時間程度の仮眠をとることをおすすめします。
病院によっては仮眠室を使用できる場合もあり、通勤の時間をカットできるので相談してみましょう。
夜勤明けも夜に眠れるよう、帰宅後すぐは2時間程度の仮眠に留めておくことがベストです。
仮眠をとること
二交代の夜勤では日勤よりも休憩時間が長いです。
寝起きが悪くて心配な方もいるかもしれませんが、休憩時間内に仮眠を取ることをおすすめします。
徹夜は体力だけでなく精神面にも影響を及ぼします。
眠気、倦怠感、集中力・注意力の低下、不安感の増大など、デメリットが多いです。
夜勤では勤務人数が少ないのでプレッシャーも大きいです。
また眠れなかったとしても、体を横にして目を閉じているだけでも疲労が回復します。
目から入る情報をシャットアウトし徹夜のダメージを最小限に抑えましょう。
アイマスクや着圧ソックスなどのグッズを使うのもいいですね。
夜勤中の栄養補給をすること
夜勤のお弁当は好きなものを持っていきましょう。
自分を応援するために、つまみやすいおやつもあるといいですね。
夜勤は体力勝負です。
しっかりと栄養補給しましょう。
しかし、食べすぎにはくれぐれも注意してください。
血糖値が上がることで眠気が襲ってきます。
おすすめは明け方に飲むカップみそ汁。
少しの塩味とじんわり温まる感じで、最後のやる気が出てきます。
夜勤明けは休息を優先すること
「何かやり忘れがあるような気がする…」と思った時、すぐに思い出せなければ諦めも肝心です。
やらなければいけないイベントが目白押しで、チェックや記録、コスト請求など、やり残しがあるような気がして不安かもしれません。
しかし、夜勤明けは仕事のパフォーマンスが明らかに低下しています。
疲れで集中力が切れると、振り返りが出来ないこともしばしば。
定時が過ぎて病棟にいたとしても思い出せることは少ないです。
早く帰って体を休めましょう。
業務中には思い出せず、リフレッシュ中に思い出すこともあります。
急を要する内容を思い出したら、病棟に電話連絡しましょう。
対応が遅れても大丈夫な内容であれば、次の勤務日に忘れないようにメモをしておき、リフレッシュに専念しましょう。
また仕事終わりの時間に振り返るより、仕事始めでチェックリストを作ることで、仕事漏れが少なくなります。
仕事始めのチェックリストづくりをぜひ試してみてください。
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まとめ
新人看護師にとって夜勤は不安のタネの1つですが、初めてのことに不安はつきものです。
しかし、日勤と同じく夜勤もだんだん慣れていきます。
今回紹介した夜勤前の準備や心得を参考に、不安や疑問をひとつひとつ解消し「夜勤」というハードルを越えてくださいね。