看護師の職場では、仕事をうまく進めていく上で良好な人間関係の構築がとても大切です。
しかし新人看護師の多くが、嫌がらせや悪口など嫌な職場環境に悩まされていることも事実でしょう。
みこ「先輩看護師からの嫌がらせがしんどい」
「悪口ばかりで精神的に疲れた」
今回は、看護師が苦労する職場の人間関係を徹底調査し、具体的な対策についてもご紹介します。
人間関係で困っている新人看護師さんは、ぜひ最後まで読んで仕事での円滑なコミュニケーションに役立ててくださいね。
看護師にとって人間関係が大切な3つの理由



看護業務を行う上で人間関係が大切な理由は3つ。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
「報告・連絡・相談」が重要視される
一人の患者さんには複数の医療従事者がかかわっているので、看護業務を単独で行えばよいわけではありません。
日々変動する患者さんの症状や病態の「最新情報」をチームとして共有し、適切な医療を提供する必要があります。
そのためには、看護師間でも常に「報告・連絡・相談」を行い、情報共有をしなければなりません。
チームワークが求められる
適切な看護を提供するためには、息の合ったチームワークが大切です。
交代勤務で複数の患者さんを看るためには、的確な申し送りを行うことで一貫した看護業務ができるようになるでしょう。
とくに緊急時の対応では、リーダー看護師の指示を仰ぎながらお互いにコミュニケーションをとることで迅速な医療を提供できます。
チェック機能を働かせ医療事故を防止
看護業務において、何事もダブルチェックが大切です。
例えば、薬剤を混注した点滴の準備の際には、薬剤の種類・量、点滴の滴下速度など、看護師2人でチェックしてますよね。
医療事故を防いで安全な看護を提供するためには、普段から看護師同士の声かけが欠かせません。
看護師の人間関係が悪化する5つの要因



ここでは、看護師の人間関係がどうして悪化するのか主な要因を5つに分けて解説します。
患者の命を預かるという緊張感
医療の臨床現場では、緊張感を持って患者さんの命を預かっています。
とくに急性期の病棟や集中治療室では、少しのミスや観察不足も許されない状況であるため、ピリピリとした雰囲気になるでしょう。
看護師の口調も自然とキツくなり、業務についていけない新人看護師をフォローしている余裕がないこともあります。
キツい対応に萎縮して、動けずにいると更に相手を怒らせてしまう要因にもなりかねません。
「業務過多」「人手不足」
もともと部署内の看護師の人数が不十分だったり、1人あたりの業務量が多くて激務が続くと、看護師の心の余裕がなくなります。
疲れがたまった状態で働いていると、お互いに協力しあい業務を行うことが難しくなり、責任をなすりつけたり理不尽な怒りに発展したりと負の連鎖を引き起こしやすくなるでしょう。
シフト制によるコミュニケーションが不足
看護師の業務では、交代勤務ごとにきちんと申し送りをしなければなりません。
日勤で起こった出来事や、患者さんからの要望などが夜勤メンバーに申し送りがされていないと、医療ミスや患者さんとのトラブルを招いてしまいます。
うまく伝わっていないことでお互いに不満を抱えてしまい、人間関係が悪くなることも少なくありません。
価値観の違い
看護師の職場は、独身や既婚者、子育て中でパート勤務の人たちが、それぞれの家庭環境を抱えながら、協力して働く場所です。
妊娠出産にともなう配置転換があったり、勤務形態による仕事量の差が生まれたり…。
お互いの立場を尊重できず、業務負担が偏ることだけに注目し、ギスギスした感情をぶつける人も少なくありません。
閉鎖的な職場環境
病院は独特のルールが生まれやすい閉鎖的な環境なので、人間関係がこじれることがあります。
長年勤めているお局看護師のやり方に従わなければならなかったり、仕事をサボっていても許されている看護師がいたりと理不尽なことも少なくありません。
正当な意見を述べても敵に回されて、余計に関係が悪化してしまい業務に支障が出ることもあります。
悪い人間関係の要因となる看護師の特徴と対処法



職場で特に注意すべき、悪い人間関係を引き起こす看護師の特徴とその対処法について解説します。
陰口を言う
業務中や休憩時間に、そこにいない看護師の陰口を常に言う看護師は、部署の雰囲気を悪くします。
陰口に同意を求めてきたり、目配せして本人に伝わるように意地悪をしたりするなど、嫌がらせ行為の度合いがひどい場合もあるでしょう。
対処法としては、できるだけかかわらないことが一番ですが、もし陰口を聞かされた場合は「そうなんですね」とあっさりと受け流すことが大切です。
相手の意見に同意すると、周囲からは「同じく陰口を言っている」と見なされる可能性があるため注意しましょう。
他人の失敗を責める
他の看護師のささいなミスや言い間違いなどに過敏に反応し、必要以上に指導が厳しく怒る看護師も多いです。
新人看護師の場合、その日の失敗した出来事をすぐに他の看護師に言いふらされて、嫌な思いを経験している人も多いでしょう。
自分の間違いを真摯に受け止めることは大切ですが、それ以外の「余計な一言」は全て受け流す心持ちで対応しましょう。
八方美人
多方面で嫌われないよう、みんなに良い顔をする八方美人タイプの看護師がいます。
上司の悪口を陰で言いながらも、本人の前では他の人の悪口を言うなど、人間関係を乱す行為をするので厄介です。
そんな人に限って新人看護師には冷たい態度で接してくるもの。
対処法としては、必要最低限のかかわりにとどめ、相手を必要以上に刺激しないことが重要です。
責任感がない
看護師の中には、自分の受け持った業務を最後まで責任を持って行えない人がいます。
仕事のミスも多く周囲がフォローしなければならない、みんなのイライラの原因となる人。



自然と部署全体の士気も下がっちゃう。
責任感のない看護師には上司からの注意・指導が必要ですが、まずは患者さん優先で安全に業務を行うことだけを考え、冷静に対処しましょう。
看護師の人間関係あるある



看護師の「悪い人間関係あるある」を。
あなたの職場ではどう?
そこにいない人の悪口大会
看護師はシフト制で勤務し、毎日異なるペアを組むことも多く、いろんなメンバーで働きます。
そのため、その場にいない看護師について話題に上がると、悪口に発展しやすい環境となっています。
最初は、業務上の話題で悪気がなくても、だんだんと行き過ぎた発言になるケースもあるので、深入りしないように気をつけましょう。
質問しても無視
仕事をする上で分からない事や、確認が必要なことを質問しているのに、無視をされるケースがあります。
特に新人看護師の場合は、一度無視をされると怖くて質問できずに困った経験をした人も多いでしょう。
嫌がらせの場合がほとんどですが、相手が忙しくてタイミングが悪かった場合、聞き方に問題があったなどの原因が考えられるので、状況を見計らって再度質問してみましょう。
わけのわからない「派閥」
長く勤めている先輩看護師の集団の中には、派閥が存在することがあり面倒です。
片方の先輩と親しく会話をしていると、もう片方の先輩から仕事中に冷たい態度をとられるなど理不尽なことが起こるので業務に支障が出るでしょう。
派閥がある場合は、どちらとも一定の距離を保って、プライベートなことは話さない方が仕事を進める上でうまくいきますよ。
先輩の高圧的な態度
何もしていないのに、明らかに不機嫌な態度をとられるなど、高圧的な態度で威嚇する先輩看護師が一定数存在します。
常に相手の機嫌を損ねないように気を遣わなければいけないので疲れてしまいますよね。
意地悪な先輩は、プライドが高く、実は臆病な場合が多いです。
物怖じしていると仕事にもミスが出やすいので、自信を持って看護業務に集中しましょう。
看護師が人間関係の悩みを解消する7つの方法



さまざまなトラブルがある看護師の人間関係ですが、問題を解消する7つの対処法があります。
苦手だと思う相手でも自分から積極的に話しかける
「苦手だな」「かかわりたくないな」と思っていると、自然と声や表情に、負の感情が乗って相手にも伝わってしまいます。
負の感情が伝わると、余計に人間関係が悪化することも少なくありません。
苦手な相手には、あえて自分から積極的に、業務の報告をしたり挨拶を心掛けたりすることで、自分は味方だと思わせることができるでしょう。
目立たず中立の立場を心がける
悪口大会や、派閥など人間関係を悪くする看護師とは、深くかかわらないことが一番です。
しかし、このような理解できない状況に対して、全うな意見を述べてしまうと逆に目立ってしまうことがあります。
面倒なことに巻き込まれないためにも、なるべく中立の立場で静観することが無難でしょう。
表情はいつも笑顔
良好な人間関係を築くのに、笑顔は大きな効果をもたらします。
毎日の挨拶や、業務中にも常に笑顔で接していると、相手に安心感を与えることができます。
眉間にしわを寄せていたり口角が下がっていると、警戒心や緊張感をもたらし、不要なトラブルを招きかねません。
微笑みの表情を意識して、雰囲気を明るくしましょう。
積極的に学ぶ姿勢を見せる
苦手な先輩や話しかけにくい先輩と業務が一緒になった場合、避けずにどんどん質問しましょう。
事前の勉強や準備は必要ですが、先輩から学びたいという積極的な姿勢は、相手に好印象に写ります。
教えてもらったことをすぐに実践し、先輩にフィードバックすることで関係性も良くなることが多いです。
学ぶ意欲のある看護師として部署内での評価も上がるでしょう。
一人で抱え込まず人に相談する
あまりにつらい状況が続き、自分一人では解決できない場合もあります。
そんな時には我慢せず、同僚や友人に相談しましょう。
特に異なる業種の友人からは、新しい視点からアドバイスをもらえることもあります。
お互いの悩みを共有することで、どの世界でも似たような人間関係があると分かり、悩んでいるのは自分だけじゃないと心強く思えることもあるでしょう。
解決しない人間関係の問題はある程度受入れる
看護師の世界で人間関係の悩みはつきものです。
他人の行動を変えようとするのは難しいことかもしれません。
自分が努力して変えられることに集中して、あとは看護師の業務を円滑に進めることだけ考えるというのも一つの解決策です。
周りに振り回されることなく、いつでも同じテンションで仕事ができると、患者さんからも信頼される看護師になれますよ。
プライベートでストレスを発散する
職場のストレスを溜め込んでいると、毎日仕事をするのも嫌になってしまいますよね。
オンオフを切り替えて、趣味に打ち込んだり友人と食事に行ったりなどプライベートを充実させて、ストレスを解消しましょう。
仕事帰りに「美味しいご飯を食べる」「映画を観る」など、小さなことでも日々の楽しみが見つかると、仕事で多少嫌なことがあっても受け流すことができますよ。
人間関係に限界なら「病棟異動」「転職」を考える



どうしても我慢できないような人間関係に悩んでいる場合は、病棟異動か転職も検討しましょう。
病棟異動ができないか上司に相談
人間関係で悩んで仕事に行きたくないと思った場合は、まず上司に相談しましょう。
看護部の方針や他の部署の状況もあるので「新人看護師の異動」は厳しいですが、正直に状況を説明して、病棟異動の希望を伝えてみるのもひとつの手ではあります。


他の病院や医療施設への転職を考える
もし異動が難しく、一からやり直したいと考えている場合は、思い切って転職を検討することも一つの方法です。
転職すれば今の人間関係からは完全に解放されるので、環境を一新させて再スタートがきれるでしょう。


転職活動する場合は、人間関係などの内部情報を事前に確認することをおすすめします。
看護師が転職すべきタイミングはどんなとき?
職場の人間関係で深く悩んでいて「転職すべきなのか」「今いる職場で頑張るべきなのか」を迷っている新人看護師も多いのではないでしょうか。



つぎの場合は「転職すべきタイミング」といえます。
人間関係の悩みが看護業務に悪影響を及ぼしている
人間関係が悪いことで、仕事に影響が出ている場合は、転職を検討しましょう。
具体的には以下のようなケースが挙げられます。
- 患者さんの必要な情報を教えてもらえないなどの嫌がらせ
- ペアを組んだ看護師が、質問に答えてくれず、協力して業務を行ってくれない
円滑なコミュニケーションや協力が得られないと、医療ミスにもつながり患者さんに適切な看護ができません。
このような職場環境は危険なので転職しましょう。
体調やメンタルに異変が生じていて生きていくことがつらい
苦手な看護師からの嫌がらせ行為や無視などから、体調を崩している場合は、転職して環境を変えましょう。
不眠や食欲不振、気分の落ち込み・イライラなどが2週間以上続いた場合は、抑うつ傾向の可能性があります。
できるだけ早めに受診して、心身の回復を優先させて、ゆっくりと転職活動を行いましょう。
人間関係に悩む看護師におすすめの転職先4選
人間関係に悩んでいる場合には、看護師の転職先として以下の4か所がおすすめです。
病院外来
病院外来は、比較的落ち着いて同じ業務を繰り返すことが多いです。
患者の来院数により忙しさは異なりますが、一度業務を覚えてしまえば、重症患者もいないので、穏やかに働く看護師が多いでしょう。
また平日の日勤帯のみのシフトがほとんどなので、プライベートも確保しやすいです。
ある程度経験を積んで、精神的に余裕のある看護師が多く在籍しているので、いじめなどの環境が少ないのもメリットでしょう。
クリニック
クリニックでは、限られた看護師やスタッフで毎日の業務を協力して行います。
夜勤もないクリニックでは、その場にいない看護師の陰口を言うような環境が作りにくく、業務も程よく忙しいので、仕事に集中できるでしょう。
クリニックを選ぶ際には、院長の方針やスタッフの人間関係などの内部情報を事前に把握することをおすすめします。


介護施設
介護施設では、受け持ちの利用者は多いですが、看護業務は創傷処置や与薬管理など負担の少ない業務であることが特徴です。
看護師の人数も少なく、1人でワンフロアを任されることも多いので、仕事上に影響するような人間関係の悩みはほとんどないでしょう。
介護士との日々の情報共有や申し送りが必要になるので、円滑なコミュニケーション能力が必要とされます。
訪問看護
訪問看護は、1人で利用者の自宅を訪問し、必要な看護を提供する仕事です。
最初は、先輩看護師に同行して仕事を学びますが、基本的に1人での仕事となるため、派閥や嫌な人間関係に悩むことは少ないでしょう。
しかし、利用者や家族との関わり方は病棟とは違った難しさもあり、1人での業務には大きな責任感をともないます。
とっさの判断力や他職種との連携など迅速な対応ができないと難しいでしょう。


人間関係の良い職場を選ぶ6つのポイント



人間関係で悩まないような良い職場環境のポイントを、6項目に分けて解説します。
職場が整理整頓されている
環境整備は看護師の業務の基本です。
ナースステーションや休憩室など、職場がきれいに整理整頓されているところでは、看護師に精神的な余裕があることがうかがえるため、人間関係も良好である可能性が高いです。
反対に資料が散乱していて掃除が行き届いていない場合は、マニュアルも整備されておらず、働きにくい環境かもしれません。
上司が話しやすい
良い人間関係を築いている職場では、上司が気さくで話しやすい人柄であることが多いです。
いつも周囲に気を配り、誰に対しても同じ態度で声かけをしている上司がいると、部署全体の士気があがり、チークワークも良いでしょう。
転職活動で職場見学をする際には、部署の看護師長に仕事内容など質問することで雰囲気が分かりますよ。
スタッフが明るい雰囲気で声を掛け合っている
雰囲気の良い職場では、スタッフ同士の声かけが頻繁にあり、イキイキとした表情で働いています。
普段から円滑なコミュニケーションがとれていると、看護業務の協力体制もしっかりしていて、お互いにフォローしあえる関係にあります。
急性期病棟においてもメリハリをつけて働けるので、病棟が落ち着いている時には仲良くやり取りしているところがみられるでしょう。
逆に、表情が暗く、ナースステーション内が全体的に静かである場合は、看護師が何かしらの不満を抱えているかもしれません。
働いているスタッフに余裕がある
1人当たりの業務量が多いとスタッフの心の余裕がなくなり、人間関係もうまくいっていない場合が多いです。
職場を探す際には、部署内の看護師の人数と、一日の仕事内容を確認しましょう。
スタッフが頻繁にため息をついて、常に忙しそうにバタバタと動き回っているような部署は、注意が必要です。
教育体制が整っている
新人教育や既卒者の教育体制がしっかりしているところは、人間関係が良い職場だといえます。
定期的な個人面談の有無、教育担当の看護師の指導方法など、詳細な内容を確認するとよいでしょう。
教育指導に時間を割けられる部署は、看護業務分担や協力体制ができている証拠なので働きやすいです。
逆に、ルールが明確にない部署では、新人教育が曖昧で働きにくいかもしれません。
口コミサイトや掲示板の評判をチェック
口コミサイトや掲示板には、実際に勤務していた看護師の本音が掲載されています。
求人情報では分からない、残業時間や病棟の人間関係、離職の理由など、仕事選びに重要な情報を得ることができるでしょう。
一方で、匿名の掲示板の場合は、虚偽の口コミの可能性もあるため、転職エージェントのコンサルタントから、情報を提供してもらうことをおすすめします。
まとめ
今回は、看護師の悪い人間関係に悩んでいる人に向けて、おすすめの転職先や良い職場の特徴、人間関係の悩みに対する具体的な対処法などについてお話しました。
まずは、笑顔でのコミュニケーションや、苦手でも頑張って質問してみるなど、自分でできることを行いましょう。
それでも状況が変わらず、看護の業務に支障が出たり、体調面に変化が出たりした場合には、異動や転職をおすすめします。
自分らしく楽しく働けるように、雰囲気の良い環境の職場を見つけて、看護師のお仕事を無理なく続けていきましょうね。


